専門看護師(Certified Nurse Specialist)とは
どんな資格ですか?
看護師として5年以上の実践経験を持ち、看護系の大学院で修士課程を修了して必要な単位を取得した後に、専門看護師認定審査に合格することで取得できる資格です。審査合格後は専門看護師としての活動と自己研鑽の実績を重ね、5年ごとに資格を更新しています。2020年12月現在、日本全国では2,733人、秋田県内では17名の専門看護師が活動しています。
どんな活動をしていますか?
患者・家族に起きている問題を総合的に捉えて判断する力と広い視野を持って、専門看護分野の専門性を発揮しながら専門看護師の6つの役割「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」を果たし、施設全体や地域の看護の質の向上に努めます。
制度の目的
専門看護師制度は、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上をはかることを目的としています。
役割
専門看護師は、専門看護分野において以下の6つの役割を果たします。
- 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
- 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
- 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
- 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。(倫理調整)
- 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
- 専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。(研究)
専門看護分野にはどんなものがありますか?
「がん看護」「精神看護」など、以下の13分野が専門看護分野として特定されています。
分野名 | 特定年月 | 認定開始年月 | 英語表記 | 分野の特徴 |
---|---|---|---|---|
がん看護 | 1995年11月 | 1996年6月 | Cancer Nursing | がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(Quality of Life:生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する。 |
精神看護 | 1995年11月 | 1996年6月 | Psychiatric Mental Health Nursing | 精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院でも心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。 |
地域看護 | 1996年11月 | 1997年6月 | Community Health Nursing | 産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。 |
老人看護 | 2001年7月 | 2002年5月 | Gerontological Nursing | 高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために水準の高い看護を提供する。 |
小児看護 | 2001年11月 | 2002年5月 | Child Health Nursing | 子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。 |
母性看護 | 2002年7月 | 2003年3月 | Women’s Health Nursing | 女性と母子に対する専門看護を行う。主たる役割は、周産期母子援助、女性の健康への援助に分けられる。 |
慢性疾患看護 | 2003年7月 | 2004年3月 | Chronic Care Nursing | 生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調とともに生きる人々に対する慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う。 |
急性・重症患者看護 | 2004年7月 | 2005年3月 | Critical Care Nursing | 緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。 |
感染症看護 | 2006年7月 | 2006年11月 | Infection Control Nursing | 施設や地域における個人や集団の感染予防と発生時の適切な対策に従事するとともに感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。 |
家族支援 | 2008年4月 | 2008年11月 | Family Health Nursing | 患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。 |
在宅看護 | 2012年5月 | 2012年12月 | Home Care Nursing | 在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。 |
遺伝看護 | 2016年11月 | 2017年12月 | Genetics Nursing | 対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する。 |
災害看護 | 2016年11月 | 2017年12月 | Disaster Nursing | 災害の特性をふまえ、限られた人的・物的資源の中でメンタルヘルスを含む適切な看護を提供する。平時から多職種や行政等と連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する。 |
特定年月とは、当該分野の特定が理事会で議決された年月です。
認定開始年月とは、当該分野の専門看護師が初めて認定された年月です。
専門看護師の専門看護分野を示す英語表記は、「Certified Nurse Specialist in (専門看護分野名)」とします。
関連リンク
専門看護師になるには
日本国の看護師の免許を有すること
1.看護系大学院修士課程修了者で一般社団法人日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
2.実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること
公益社団法人日本看護協会の認定審査(書類審査・筆記試験)に合格
専門看護師認定証交付・登録
5年ごとに更新(看護実践の実績、研修実績、研究業績等書類審査)
本大学院の高度実践看護師教育課程(専門看護師)
日本赤十字秋田看護大学大学院修士課程では一般社団法人日本看護系大学協議会より、平成27(2015)年度から「がん看護(38単位)」の教育課程として、平成31(2019)年度から「精神看護(38単位)」の教育課程として、令和5(2023)年度から「老年看護(38単位)」の教育課程として、それぞれ課程認定を受けています。
厚生労働省「専門実践教育訓練給付講座」に指定されています
本大学院修士課程のすべての教育課程は、厚生労働省「専門実践教育訓練給付講座」として、厚生労働大臣より指定されています。
「教育訓練給付」とは、労働者の主体的なキャリアアップを支援するため、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した際に、訓練経費の一部を雇用保険により給付するものです。
「専門実践教育訓練給付」は、中長期的なキャリア形成に資する講座について、受講する労働者が支給要件などを満たし、かつ、ハローワークで支給申請手続を行うことで、受講費用の50%(年間上限40万円)を6か月ごとに支給されるものです。また、訓練修了後1年以内に資格などを取得し、就職などをした場合には、受講費用の20%(年間上限16万円)を追加支給されます。これにより、2年間で最大112万円の給付金が支給されることになります。
文部科学省「職業実践力育成プログラム(BP)」 として認定されています
本大学院修士課程のすべての教育課程は、文部科学省「職業実践力育成プログラム(BP)」として、文部科学大臣より認定されています。
課程名
令和3年度 看護学研究科 看護学専攻 修士課程 高度実践看護学分野(がん看護)
令和3年度 看護学研究科 看護学専攻 修士課程 高度実践看護学分野(精神看護)
令和4年度 看護学研究科 看護学専攻 修士課程
職業実践力育成プログラム(BP)とは

大学・大学院・短期大学・高等専門学校におけるプログラムの受講を通じた社会人の職業に必要な能力の向上を図る機会の拡大を目的として、大学等における社会人や企業等のニーズに応じた実践的・専門的なプログラムを「職業実践力育成プログラム」(BP)として文部科学大臣が認定するものです。
お問い合わせ先
出願に関すること
入試・広報課 入試・広報係
電話:018-829-3759
Eメール:koho@rcakita.ac.jp
教育課程に関すること
学務課 教務係 大学院担当
電話:018-829-4171
Eメール:g-school@rcakita.ac.jp